ジムニーのオーナーにとって、「リフトアップ」は気になるカスタムのひとつ。
リフトアップは単に見た目をワイルドにするだけでなく、オフロード走破性を高めるという機能的な魅力も持ち合わせているからですね。
本記事では「これからリフトアップをしてみたい」という方のために知っておきたい以下4つのポイントについて解説いたします。
- ジムニーのリフトアップ方法
- インチ数ごとの特徴
- 必須となる補正パーツ
- 車検適合性
ぜひ最後までお付き合いください。
ジムニーをリフトアップする3つの方法

ジムニーのリフトアップは、主に3つの方法がございます。
- コイルでリフトアップ
- コイルスペーサーでリフトアップ
- ボディリフトアップ
順にみていきましょう。
コイルでリフトアップ
リフトアップ用のコイルスプリング(バネ)に交換することで車高を上げます。
車高はコイルの「バネレート(硬さ)」と「自由長(バネ単体の長さ)」の二つの要素によって決まります。
ショックアブソーバーとセットになったリフトアップキットが販売されておりますので、これらを使用するケースが多いでしょう。
コイルスペーサーでリフトアップ
純正のコイルスプリングと車体の間にスペーサーを挟み込み、かさ増しすることでリフトアップする方法です。
純正コイルを流用できるため安価にリフトアップできる点が魅力ですが、リフトアップコイルと同様に伸び側のストローク不足を防ぐためにショック延長ブラケットやロングショックへの交換が必要になる場合があります。
ボディリフトアップ
ラダーフレームとボディの間にスペーサーを挟んで車高を上げる方法です。
サスペンション自体は変更しないためサスペンション性能に影響を与えません。
ただし2インチ(約50mm)以上のボディリフトを行う場合は、ステアリングシャフトやシフトレバーの延長といった補正が必要となることがあります。
インチ別の特徴や相場



ジムニーのリフトアップは
- 1インチ(ちょいアゲ)
- 2インチ(王道)
- 3インチ(本格派)
が主流です。ざっくりではありますがそれぞれの特徴と費用は以下の通りです。
| インチ数 | 目的・特徴 | リフト量目安 | 費用相場 (パーツ代+工賃) |
| 1インチUP(ちょいアゲ) | 街乗りメイン、コスト重視、乗り心地キープ | 約2.5cm〜3.8cm | 約5万円~16万円 |
| 2インチUP(王道) | 見た目と走破性のベストバランス、カスタムパーツ豊富 | 約5cm | 約19万円~38万円 |
| 3インチUP(本格派) | 究極の走破性、超大径タイヤ装着 | 約7.5cm | 約38万円~65万円以上 |
1~1.5インチアップ(ちょいアゲ)
- 特徴とメリット
-
1インチアップ(約25mm~38㎜)は、日常の使い勝手を大きく変えることなく、迫力を増すことができるカスタムです。補正パーツが最小限で済むためコストを安く抑えられることが最大のメリット。
- 必要となるパーツ
-
コイルスプリングの交換のみで完結するキットが多いです。
ただし、純正ショックアブソーバーは伸び側のストロークが短いためリフトアップした分、ショック延長ブラケットや長いショックが必要になる場合があります。
2インチアップ(王道)
- 特徴とメリット
-
2インチアップ(約5cm)は迫力あるルックスと本格的なオフロードにおける優れた走破性を両立できるため、アウトドア派ジムニーオーナーにも支持されています。
街乗りでの安定性を確保するため、バネを硬くしたりショックアブソーバーの減衰力を強く設定しているキットが多いです。
- 必須となる補正パーツ
-
2インチアップではサスペンションジオメトリの変化が大きくなるため、安全で快適な走行のために複数の補正パーツが必須となります。
2インチアップ(約5cm)は、明確なリフトアップ感による迫力あるルックスと、本格的なオフロード走行を楽しめる優れた走破性を両立できるため、最も多くのジムニーオーナーに支持されています。街乗りでの安定性を確保するため、バネを硬くしたり、ショックアブソーバーの減衰力を強く設定しているキットが多いです。
2インチアップではサスペンションジオメトリの変化が大きくなるため、安全で快適な走行のために複数の補正パーツが必須となります。
調整式ラテラルロッド(前後)
リフトアップによって左右にずれた車軸を車体の中心に戻すために必須です。
ロングブレーキホース
サスペンションの伸び(ストローク)に対応しホースが突っ張って破断するのを防ぐための安全対策として必須です。
キャスター角補正パーツ
直進安定性やハンドルの戻りを正常にするために、「偏芯ブッシュ」や「補正済みリーディングアーム」でキャスター角を調整します。
その他
延長バンプストッパー、プロペラシャフトスペーサー、スタビライザー補正パーツなどもキットに含まれることが一般的です。
3インチアップ(本格派)
- 特徴とデメリット
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3インチアップ(約7.5cm)は圧倒的な存在感とロックセクションを含むハードな悪路を走破する究極のオフロード性能を提供します。
225/75R16のような超大径タイヤの装着も視野に入ります。 しかしながら重心が大幅に高くなるため、高速走行時や長いカーブでのロール(車体の傾き)が大きくなり走行安定性は低下する傾向があります。
そのため多数の補正パーツが必要となり費用が高額になります。
- 必須となる補正パーツ
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2インチアップで必要なパーツに加えさらに大がかりな補正が推奨されます。純正アームでは補正しきれないキャスター角やプロペラシャフト角を適正化するためにリーディングアームやトレーリングアームの交換が必要となる場合が多いです。
走行性能と乗り心地の変化



ジムニーは純正の足回りがソフト過ぎて「フワフワする」と感じるオーナーも多くいます。
ところがリフトアップキットを装着すると、ノーマルのフワフワ感が消えカーブや段差でも揺れが収まる「シャキッとした」乗り心地に変化する傾向があります。
これは重心高の上昇に伴う不安定さを解消するためリフトアップ用コイルのバネレートを硬くしたり、ショックアブソーバーの減衰力(抵抗)を強く設定しているためです。
多くの高性能キットには、減衰力(硬さ)を調整できるショックアブソーバー(例:14段調整式)が採用されており、街乗り、ワインディング、オフロードなど、走行シーンや好みに合わせて乗り味を細かくセッティングできるのが魅力です。
以下の記事ではジムニーの乗り心地を良くする方法について解説しています。良かったらご覧ください。



リフトアップと車検・保安基準の知識



リストアップ量によっては車検に影響することもあります。
ここでは車検に適合させるために知っておきたいポイントについて解説します。
構造変更の要否
車高が±4cmを超える変更があった場合、通常は構造変更(車検証の記載変更)が必要ですが、リフトアップに用いるパーツが「指定部品」である場合は4cmを超えても構造変更の手続きは不要とされています。
- 指定部品
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コイルスプリング、ショックアブソーバー、ラテラルロッド、バンパーなどは指定部品に該当します。コイルやショックを用いた車高変化は、4cmを超えても構造変更は不要です。
- 指定外部品
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コイルスペーサーやボディリフト用ブロックなどは指定外部品にあたります。これらのパーツで車高が4cmを超えて変更された場合は、構造変更が必要です。
直前直左視界基準
リフトアップで最も注意すべきは「直前直左視界基準」です。
運転席に着座した状態で車両前方および左側面の決められたエリア(直径30cm、高さ1mの障害物)を確認できなければなりません。
車高が高くなるほど死角が増えるため2インチ以上のリフトアップを行う場合は、フロントカメラや補助ミラー設置などの対策が車検合格のために必要となる可能性が高いです。
後部突入防止装置
令和3年9月以降に製造された車両は、車両後部から追突された際に被害が増加するのを防ぐための「突入防止装置」またはそれに代わる構造が求められます。
ジムニーの場合バンパー下縁が空車状態で地上550mm以内に入っている必要があります。
よって極端に薄いショートバンパーなどに交換したり、リフトアップによってバンパー下縁の高さが550mmを超えると、突入防止装置の装着義務が発生する可能性があります。
まとめ:目的に合ったリフトアップを選ぼう



ジムニーのリフトアップは、理想のスタイルと走りを実現するための第一歩。
カスタムを検討する際は主な用途とご予算に合ったインチ数を選ぶことが重要です。
改めてですが
- 街乗り・手軽さ重視なら1インチアップ(ちょいアゲ)。
- オフロードも見た目もバランス良く楽しみたいなら2インチアップ(王道)。
- 究極の走破性を求めるなら3インチアップ(本格派)。
がよろしいかと思います。
なお足回りの交換は安全に関わる重要な作業であるため専門知識と施工実績のあるプロショップに依頼することをオススメいたします。
当店ではご相談や見積りなど承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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